COLUMN
WordPress以外の選択肢
WordPressは優れたCMS。でもWebの技術は進化しています。AstroとEmDashを例に、今ある選択肢を改めて考えます。

10月21日のPHPの緊急対応、大変でしたね。
この日、PHP本体の重大な脆弱性に対する緊急修正版が公開されました。翌22日にかけてWeb関連の各所で対応が続き、一時的にサービスを停止したところもありました。
夜を徹して対応された方も、いらっしゃったのではないでしょうか。関係者の皆さま、本当にお疲れさまでした。
こうした出来事があると、ホームページを支える技術について、改めて考えさせられます。
ホームページを作るとき、「WordPressで作りましょう」と言われたことはありませんか?
WordPressは、とてもよくできたシステムです。長年にわたって改良され、世界中の多くのサイトで使われています。私自身も、その便利さをよく知っています。
ただ、Web制作に長く携わってきた立場から、ひとつお伝えしたいことがあります。
ホームページを作る技術は、今も進化しています。WordPress以外にも、魅力的な選択肢が増えているんです。
Webの作り方は、ずいぶん変わりました
WordPressが登場したのは2003年。基盤となるPHPは、1995年に公開された歴史の長いプログラミング言語です。
もちろん、古いから悪いという話ではありません。WordPressもPHPも進化を続けています。ただ、その間にブラウザやJavaScript、サーバーの仕組みも大きく進歩しました。
以前は複雑なプログラムが必要だったことを、今はブラウザの標準機能で実現できる場合もあります。また、サイトの表示やコンテンツの管理の仕組みも発展し、更新のしやすさや運用の負担まで考えて、構成を選べるようになりました。
同じ「ホームページを作る」でも、選べる方法はひとつではなくなっているのです。

EmDashを支えるAstroという技術
私が今回、実際に使っているのは、EmDash(エムダッシュ) というCMSです。その土台となっているのが、Webサイトを作るためのフレームワーク、Astro(アストロ) です。
Astroには、ブラウザで動かすJavaScriptを必要な部分に絞り、ページの表示にかかる負担を抑えやすいという特徴があります。表示速度、構造のシンプルさ、新しいWeb標準との相性。こうした点に魅力を感じています。
開発者向けの調査「State of JavaScript 2025」でも、Astroはメタフレームワーク部門で満足度トップと評価されています。ただし、人気だけでなく、用途に合うかどうかが大切です。
キューブライツのサイトでは、EmDashで記事やページを管理し、アクセスに応じてサーバーでページを生成する仕組み(SSR)を使っています。更新しやすいCMSと、その土台となる技術を組み合わせて、使い続けやすいサイトを目指しています。
WordPressを今の技術で考え直したEmDash
では、記事やページの編集・管理を担うEmDashは、どのようなCMSなのでしょうか。
EmDashは、Cloudflareが開発を始めた、Astroを基盤とする新しいCMS(コンテンツ管理システム)です。2026年9月に正式版1.0が公開され、10月には1.3系に更新されています。
WordPressのように管理画面から記事やページを扱える一方で、内部の設計は現代的なものになっています。PHPを使わないことも、その大きな違いのひとつです。
AstroはWebサイトを構築するための技術、EmDashは編集・管理するためのCMS。WordPressと直接役割が近いのはEmDashの方です。
EmDashはまだ新しいため、WordPressほど長年の導入実績や豊富な周辺資産があるわけではありません。それでも、今後に期待したい選択肢だと感じています。
セキュリティも、技術を選ぶ理由のひとつ
冒頭で触れたPHPの問題は、WordPressそのものの欠陥ではありません。それでも、PHPを利用するサイトでは、その基盤となる技術の情報を確認し、必要な対策を取ることが求められます。
WordPressは広く普及しているため、攻撃者にとっても研究・攻撃する動機の大きいソフトウェアです。WordPress本体だけでなく、プラグインやテーマなどを適切に管理することも重要です。
もちろん、PHPを使わなければ安全というわけではありません。AstroにもEmDashにも、それぞれの更新や運用上の注意が必要です。
ただ、使わなくて済む仕組みを減らすことで、管理する対象やリスクを小さくできる、という考え方は大切だと思っています。
大切なのは、そのサイトに合った選択肢を知ること
WordPressには、使い慣れた管理画面や豊富な機能、幅広い制作・運用の実績があります。今でもWordPressが適しているケースはたくさんあります。
一方で、EmDashのように、新しいWeb技術を土台にCMSを設計し直す動きも出てきました。編集する人の使いやすさと、公開サイトの表示や運用を、あわせて考える選択肢が増えています。
どれかひとつが、すべてのサイトの正解というわけではありません。
「昔からよく使われているから」ではなく、「今、このホームページに何が必要なのか」から考える。
制作会社として、私たちは新しい技術も実際に確かめながら、より良い選択肢を提案していきたいと思っています。
参考資料:Astro公式ドキュメント / EmDash公式発表 / State of JavaScript 2025 / PHP 8.4.27セキュリティリリース
