COLUMN

インターネットが止まった日。Cloudflareという会社をご存じですか?

世界のWebサイトを支えるCloudflare。2025年の大規模障害を入口に、CDN、エッジコンピューティング、AIへの進出と、その存在感をわかりやすく紹介します。

Cloudflareのロゴが刻まれた街の路面を、人々が気にせず行き交う水彩画風のイラスト。インターネットが止まった日

2025年11月18日、世界中の多くのWebサイトやオンラインサービスが、突然つながりにくくなりました。

X(旧Twitter)やChatGPTなど、普段何気なく利用しているサービスにも影響が出て、「インターネットが止まった」と感じた人もいたかもしれません。

ただし、インターネット全体が止まったわけではありません。原因は、Cloudflare(クラウドフレア)という米国企業で起きた大規模なシステム障害でした。

GoogleやAmazonほど一般に名前が知られているわけではないかもしれません。しかしCloudflareは、Webサイトの裏側で、いつの間にか非常に大きな役割を担うようになった企業です。

一企業の障害が、なぜ世界中へ広がったのか

Cloudflareの公式報告によると、障害のきっかけは同社内部のデータベースの権限変更でした。

この変更によって、悪質な自動アクセスを判定するための設定ファイルに想定外の重複データが入り、ファイルのサイズが大きくなりました。それが世界各地のネットワークに配布され、通信を処理するソフトウェアでエラーが起きたのです。

大規模なサイバー攻撃が原因だったわけではありません。

Cloudflareのネットワークを利用している多くのサイトやサービスが影響を受けたことで、普段は意識しない存在が、実はWebの重要な部分を支えていることが浮き彫りになりました。

道路や電気、水道も、普段はその仕組みを考えません。止まって初めて、どれほど日常に組み込まれていたのかを知ります。Cloudflareの障害は、それに少し似た出来事だったのかもしれません。

世界のWebサイトの約4分の1が利用する規模

Webサイトで使われている技術を調査するW3Techsによると、2026年10月29日時点で、調査対象の全Webサイトの約28%がCloudflareをリバースプロキシとして利用しています。

「リバースプロキシ」とは、Webサイトのサーバーと利用者の間に入って通信を中継する仕組みです。この数値はCDN市場の売上シェアでも、インターネット全体の通信量の割合でもありません。それでも、Webサイトでの普及規模を感じるには十分な数字でしょう。

Cloudflareは世界各地に多数のネットワーク拠点を持ち、Webサイトの表示を速くしたり、攻撃から守ったりする役割を担っています。

では、世界中に拠点があると、何が便利なのでしょうか。

日本のホームページを英語圏の人が見ると?

例えば、日本の会社が英語版のホームページを作り、アメリカやイギリスの人にも読んでもらおうとしたとします。

ページのデータが日本のサーバーにしかない場合、海外の読者は日本まで通信してデータを受け取ることになります。通信速度は非常に高速でも、物理的な距離による遅延をゼロにはできません。

そこで役立つのが、CDN(Content Delivery Network)です。

世界中の拠点に画像やページなどのコンテンツを保存しておき、利用者に近いところから届ける仕組みです。アメリカの人にはアメリカ近辺の拠点から、イギリスの人にはイギリス近辺の拠点から。毎回遠い日本のサーバーへ問い合わせなくても済む場面が増えます。

もちろん、すべてのHTMLやデータが無条件に保存されるわけではなく、何をどのように配信するかはサイトの設定によって変わります。

Cloudflareは、このCDNを世界規模で提供している代表的な企業の一つです。

CDNの会社から、プログラムを動かす会社へ

世界的なCDNには、AkamaiやFastly、Amazon CloudFrontなど、Cloudflare以外にも大手の選択肢があります。

その中で、近年のCloudflareが興味深いのは、Webサイトのデータを届けるだけでなく、プログラムそのものを動かす領域へ事業を広げていることです。

これが「エッジコンピューティング」という考え方です。

従来のように一つの遠いサーバーへ処理を集中させるのではなく、利用者に近いネットワーク上で必要な処理を実行する。Cloudflare Workersは、そのための代表的なサービスです。

Webサイトの高速配信で世界中に作ってきたネットワークを、今度はアプリケーションの実行基盤としても活用し始めたわけです。

さらにAI、Webサイトの制作・管理へ

CloudflareはAI分野にも進出しています。

自社の基盤上でAIモデルを実行できる「Workers AI」や、複数のAIサービスへの接続を管理する「AI Gateway」など、AIアプリケーションを作るための機能を提供しています。

そして2026年には、Webサイト制作向けフレームワーク「Astro」の開発会社を買収し、新しいCMS「EmDash」も発表しました。

CDN、セキュリティ、プログラムの実行、AI、さらにWebサイトの制作・管理へ。

Cloudflareは、Webサイトを届ける会社から、Webサイトの基盤そのものを担う会社へ変わろうとしているのではないか。 そんな印象を受けます。

もちろん、それが唯一の正解だとは限りませんし、Cloudflare自身の公式な経営目標だと断定するものでもありません。Astroなどの技術はCloudflare以外の環境でも利用できます。

AstroとEmDashの動きは、それだけで一つの記事になる話なので、また別の機会に詳しく取り上げたいと思います。

インターネットの裏側で、これから何が変わるのか

Cloudflareがあらゆる用途で最適というわけではありません。用途によってはほかのサービスが優れていることもあります。

そして今回のような大規模障害は、多くのサービスが一つの基盤を利用することのリスクも示しました。

それでも、Webサイトを高速に届けるためのネットワークが、プログラムやAIを動かす基盤にもなっていくという流れは、今後のWebを考えるうえで見逃せません。

普段は名前も意識せず、利用していることにすら気づかない。けれど、私たちが見ているWebの足元には、こうした企業の技術がすでに広がっています。

Cloudflareは、これからも注目しておきたい企業の一つです。

ちなみにキューブライツでも、現在はCloudflareの基盤を使ってホームページを制作・運用しています。もっと適した技術が現れれば見直すこともあるでしょうが、今のところはCloudflareを選んでいます。

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参考資料

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